マラセチア性皮膚炎


マラセチア性皮膚炎は、その名の通り「マラセチア」という酵母菌が皮膚の表面で増えることで皮膚炎が起きる病気です。


<慢性化したマラセチア皮膚炎> 写真は顎から首にかけての皮膚。皮膚はまるでゾウのように分厚く変形し、皮膚の表面はマラセチア性皮膚炎特有の湿った感じになっている

 

酵母菌等はカビの仲間なのですが、お米とかお餅とかの表面に綿毛のように現れる糸状のカビではなく、納豆菌やパンを発酵させるイースト菌のようなタイプのカビで、ダルマみたいな形をしています。
実際、マラセチア性皮膚炎の犬の皮膚は、ちょっと納豆ぽい臭いがします。

 

<顕微鏡で見るマラセチア>

 


さて、このマラセチアという酵母菌は、他の動物から皮膚に感染するものではなく、健康な動物の皮膚にも普通に存在していて、特に耳や足の間などには症状がなくても検査で見つかることがあります。


しかし、何かのきっかけでこのマラセチアが大量に増えると、とても痒い皮膚病を発症してしまいます。

特に、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリアという犬種では、異常なくらいの痒みと皮膚炎症状が起きるので特に注意が必要です。

ちなみに人間の皮膚の表面にもマラセチアは住んでいますが、動物のマラセチアとは種類がちょっと違います。
動物のマラセチアは「マラセチア パチデルマティス」という味気ない名前ですが、人間の方は「マラセチア ファーファー」というとても可愛らしい名前となっています。