耳の病気も皮膚科なの?と思われるかもしれませんが、耳の表面も皮膚で出来ているので耳の病気も皮膚科の守備範囲なんですよ。

さて、耳の病気の話の前に、まずは耳の構造を簡単に説明させて頂きます。

耳は耳たぶ(耳介)から始まり、耳の穴から鼓膜までの”外耳”外耳を通ってきた音を増幅する”中耳”そして実際に音を聞く器官がある”内耳”の3つの部屋に分けられます。

”耳が痒い”とか”耳が臭う”という原因は、この中の外耳に炎症がある”外耳炎”がほとんどです。

 

この外耳炎をほっておくと、炎症が中耳や内耳にまで波及してしまうことがあり、とくに内耳の中には体のバランスを保つ”三半規管”や”前庭”という器官も存在するので、内耳炎になると首が傾いたり、まっすぐ歩けなくなる等の症状が出ることもあります。

そういう意味でも外耳炎はしっかり治療しないといけない病気なのです。

さて、そんな外耳炎の原因ですが、

1.耳の中の細菌が繁殖した (細菌性外耳炎)
2.耳の中の酵母菌が繁殖した(マラセチア性外耳炎)
3.耳ダニが感染した 

に分けられ、それぞれの病気は耳の中の耳垢を調べることで診断できます。

※ちなみに耳ダニはヒトにも感染します。実際、自分の耳に耳ダニを入れて観察した人もいました・・・
 ロバート・A・ロペズ(獣医師)
 猫から採取した耳ダニを自分の耳に入れ丹念に観察・分析したことで1994年にイグノーベル賞(昆虫学賞)を受賞

しかし原因が分って治療を行っても「治療中は痒がらないけど、治療を止めるとすぐに再発してしまう」という話もよく聞います。

こういう外耳炎は上記の原因に加えて、

1.外耳炎の原因にアレルギーが関与している
2.外耳炎が慢性化して、外耳が狭くなっていたり、鼓膜が破れている等の構造的な変形が起きている

ということが考えられます。

アレルギーが関与している場合には、アレルギーの治療も同時に行うことで対応していきますが、外耳の構造変化がある場合には治療に時間がかかることも多く、最悪の場合には外耳全体を取り去るような手術が必要になることもありますので、「耳が痒そうだな」と思ったら、出来るだけ早く治療を開始する事をおすすめします。