アトピー性皮膚炎

まず最初にお伝えしなくていけない事なのですが、このページの表題は「アトピー性皮膚炎」と掲げてありますが、厳密なこと言うと動物には「アトピー性皮膚炎」という名前の皮膚病は存在しません。本来、「アトピー性皮膚炎」という名前は人間の皮膚病に対してのみ用いられる病名なのです。

ただし、人間の「アトピー性皮膚炎」にかなりよく似ているけどすごく細かいところまで考えると微妙に違う皮膚病が動物にも存在していて、犬の場合はその皮膚病のことを「犬アトピー性皮膚炎」とわざわざ"犬”を最初につけて人間の「アトピー性皮膚炎」と区別して呼んでいます。

ちなみに猫にも同じような皮膚病があるのですが、こちらはなぜか「猫アトピー性皮膚炎」とは呼ばずに、「非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎 」と珍妙な名前が付けられています。

しかし、いちいち区別して呼ぶのも面倒なので、現場ではまとめて「アトピー性皮膚炎」と言ってしう事も多く、これからの文章中に出てくる「アトピー性皮膚炎」という言葉も、あくまでも犬の「犬アトピー性皮膚炎」と猫の「非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎 」に関しての意味だと思って読んで下さい。

動物の「アトピー性皮膚炎」は花粉だとか、チリダニだとか、その動物が生活する環境中に存在している物質に対してアレルギーを起こしやすい体質を持っている動物に起こる皮膚病で、実際にそれらの物質が皮膚ににくっ付いた時に痒みを伴う皮膚炎が発症します。

さて、この動物の「アトピー性皮膚炎」の診断に関して飼い主さんから「血液検査で診断できますか?」とよく聞かれるのが、結論から言いますと「血液検査では確実に診断はできません。これは私が勝手に言っていることではなくて、今のところ獣医皮膚科学的にそうゆう見解になっているようです」と答えます。

では、正しい動物の「アトピー性皮膚炎」の診断とは・・・

「痒みを起こす皮膚病を1つ1つ丁寧に診断していって、それでも診断がつかな痒みのある皮膚病を全部まとめて“アトピー性皮膚炎”と診断しましょう」

という除外診断と呼ばれる方法です。

かなり原始的な診断方法なのですが、ちゃんと1つ1つの痒みのある皮膚病を確実に診断、除外していかないと、正確に”アトピー性皮膚炎”までたどり着けないので、診断には獣医の技量が結構問われる皮膚病だと個人的には考えています。

さて、動物の「アトピー性皮膚炎」と診断された場合の治療に関しましては、「アレルギー性皮膚炎の治療」のページに詳しく書いておきますので、ご参考にして下さい。