疥癬

疥癬(カイセン)は"疥癬虫(カイセンチュウ)”という虫が皮膚に寄生することで激しい痒みを引き起こす皮膚病です。


 

 

疥癬の痒みは生半可では無く、痒みのある病気の中でも最高クラスに痒い皮膚病で、疥癬にかかった動物は文字通り「血が出るほど」掻き続けます。



て、この疥癬にはいくつか特徴があります。

まず、この疥癬の原因である疥癬虫は数種類いますが、イヌに感染する疥癬虫はイヌにしか感染しません。同じようにネコの疥癬虫はネコだけ、人の疥癬虫は人だけに感染します。

このように感染する相手がキッチリ決まっていることを“種特異性が高い”と表現します。

※種特異性
疥癬虫と同じく動物の皮膚に寄生するノミには、ネコノミとイヌノミがいますが、疥癬虫とは違ってイヌノミがネコに寄生したり、ネコノミがイヌに寄生することがあるのでノミは取得異性が低いと言える


ただし、イヌの疥癬虫が間違って人間の皮膚に入り込んでしまうことはあります。この場合、種特異性の高い疥癬虫は人の皮膚の中からはいなくなるのですが、残念なことに“すさまじい痒み”だけはキッチリ残ります。


また、イヌの疥癬では、たまにどんなに検査しても疥癬虫が見つからないという事もあります。しかも、皮膚症状がアレルギー性皮膚炎によく似ているために、誤診を招きやすい皮膚病でもあります。

そのため、検査で疥癬が見つからなくても、疥癬がちょっとでも怪しいと思う場合には、飼い主さん自身に皮膚の痒みが無いかを聞くようにしています。実際、「自分の犬が皮膚病になってから自分も皮膚が痒くなった」というような話が飼い主さんからあった場合には、かなり強く疥癬を疑いながら診察をするようにしています。

このように疥癬は、激しい症状を出すわりには、イヌでは診断にとても苦慮するし、人にも猛烈な皮膚病を起こさせるという厄介な皮膚病ですが、最近ではノミやダニの予防薬として販売されているものの中に、この疥癬虫にも効果があるタイプの製品もあるので、ノミやダニの予防薬を使用する場合には、そちらのタイプの物を使ってみるというのもおススメです。