アレルギー性皮膚炎の診察で最後に行き着く先は、「この皮膚病は“食物アレルギー性皮膚炎”か?あるいは“アトピー性皮膚炎”か?」というところです。
どちらも症状等が似ているので、見ただけでは診断することも出来ませんが、原因が全く違う病気なので、当然ながら“食物アレルギー性皮膚炎”と“アトピー性皮膚炎”では今後の治療方針も大きく変わりますので、両者の鑑別はとても重要となります。
では、この2つの皮膚病の鑑別方法ですが、
「食物アレルギー性皮膚炎の検査を行って、もし食物アレルギー性皮膚炎では無かったら、その皮膚病はアトピー性皮膚炎と診断しましょう」
となります。
つまり、「食物アレルギー性皮膚炎」の検査をしても診断がつかなかったアレルギー性皮膚炎を「アトピー性皮膚炎」として診断しているのです。(この方法を除外診断と言います)。
それでは、その食物アレルギー性皮膚炎の検査方法ですが、これが意外と大変です。今のところ血液検査等でも両者を鑑別することは難しいと考えられており、最も信頼できる検査方法は、これから紹介する「除去食試験」とされています。
<除去食試験>
食物アレルギー性皮膚炎は“食物に含まれている何かしらのタンパク質がアレルギーの原因となって起こる皮膚炎”というものなのですが、原則として「過去に一度も食べた事が無いタンパク質」に対しては皮膚炎は起こらないとされています。
その理論を踏まえた上で、「過去に食べたことが無いと予想されるタンパク質だけで作られたフードを与えて皮膚病が治るかを調べてみよう!」という非常に単純な発想で行うのが除去食試験となります。
そこで、まずは今現在食べている食材から調べることから始めるのですが、実際にあげているフードの袋の裏に書かれいる成分表を見てみると、「豚肉、鶏肉、小麦、大豆・・・・」などなど、様々なタンパク質が含まれていることが分ります。これ以外にも、おやつや人間の食べ物を与えた経験があれば、アレルギーの原因として考えられるタンパク質は10種類以上になってしまいます。
そうなってくると、「除去食試験のために何をフードとして食べさせればいいんだ?」という話になります。
そのため今では、食物アレルギー性皮膚炎を診断するために設計された特別な除去食試験用フードが売られています。
この除去食試験用フードにもいくつかのタイプがあり、
・ナマズや七面鳥など、過去に食べたことがないというか、普通に生活していたら動物が食べる事が無い珍しい食材をタンパク質を使用した「新奇タンパク食」
・化学的な手法でアレルギーが起きにく大きさまでタンパク質を細かく分解した「加水分解食」や「アミノ酸製剤食」
などがよく用いられます。
どのフードも優れた内容で作られてはいますが、絶対に食餌アレルギーを回避出来るフードというものはありません。
各々の除去食試験用フードには、それぞれ作用や美味しさに一長一短があるので、その動物がいままで食べてきたフードの詳細を考慮してし、最も適切なタンパク質内容で、かつ、その動物が嫌がらすに食べてくれる除去食試験用フードというものを選択する必要があります。