耳輪皮膚症

耳の皮膚病は色々なものがありますが、あんまり詳細な病態は分っていないようです。

なぜなら、ちゃんと調べようと思うと、どうしても耳の皮膚の一部を切取って検査する必要があるのですが、取った部分の皮膚が縮まって、耳の形が変形してしまうかもしれないので、耳の皮膚を切り取るというのは結構難しいというのが理由の1つです。

そんなわけで、私は耳の皮膚病は、見た目などから診断することが多いです。


さて、今回は耳の皮膚病の中でもわりと遭遇する機会が多い「耳輪皮膚症」についてです。





この皮膚病は、耳の縁に沿って皮膚病が起きるのですが、その他にもいくつかの特徴があります。

特徴①.冬に多い
特徴②.耳が長くて薄っぺらなダックス、ミニピン、ミニチュア・シュナウザーなどに多い


耳輪皮膚症は厳密な意味ではなぜ起きるのかは不明ですが、以上の特徴から

「寒い日は血液の流れが悪くなるから、特に耳が長くて薄っぺらな犬では耳の端まで血液が届かなくなって、この皮膚病がおこる」

という可能性を私は勝手に想像しています。



ですから、私が最初に行う治療は、


“散歩から帰ってきたら耳を手で温めて下さい!!”です。

もちろん、これだけではなかなか良くならないので、血管を強くする薬を飲んでもらったり、保湿剤を塗ってもらいます。



では、先ほどの耳の写真のチワワ君に「手で温める+血管を強くする薬+保湿剤」を続けてもらった結果・・・


毛が生えてきました!!!

正直、このチワワ君はなかなか治らず、途中何度も皮膚を取って検査しようかと悩みましたが、飼い主さんが一生懸命に治療に協力してくれたおかげでここまで復活できました。