「先生、塗り薬はないのですか?」

皮膚病のワンちゃんを診察したときに、よく飼い主さんから質問されることがあります。
確かに、人が皮膚科を受診すると塗り薬が処方されます。
なぜ、ワンちゃんの皮膚病には塗り薬があまり出されないのか?

これには
・ 塗り薬を塗っても舐めしまう
・ 毛が邪魔して皮膚に塗りにくい
というワンちゃんならではの理由があるからです。

しかし、皮膚病にもっとも効果があるのは、直接皮膚に作用する塗り薬であるのも事実です。

「舐められる心配もなく、毛があっても皮膚までしっかり届いて、しかも全身の隅々まで作用する塗り薬」があれば大変助かるのですが・・・

実は、そのような条件を満たす塗り薬があるのです!

それは「シャンプー」です!

もちろん普通のシャンプーではなくて、「薬用シャンプー」と呼ばれる薬効成分が入った特別なシャンプーです。

動物病院で使用される薬用シャンプーは何種類もあり、それぞれに色々な薬効成分が配合されていて、皮膚病の原因や症状によって使い分けます。
場合によっては、いくつかの薬用シャンプーを組み合わせて使うこともあります。

シャンプーの薬効成分が、一旦皮膚の中に浸透してしまえば、その後にワンちゃんが皮膚を舐めても問題はありませんし、毛が邪魔することもなく全身の皮膚に薬効成分を行き渡らせることが出来ます。

このようにワンちゃんの皮膚病の治療には、薬用シャンプーがとても重要ですし、適切に薬用シャンプーを使えば飲み薬を減らすことが出来るかもしれません。

「シャンプーは皮膚病に苦しむワンちゃんを救う!」

もし動物病院で「シャンプーを出しますね」と言われたら、それは「塗り薬を処方しますね」と言われたことと同じ意味なのです。