鼻と肉球の角化症(特発性角質増多症)

皮膚の表面には角質層と呼ばれる層があり、これは外部の刺激から身体を守る役割を果たしていますが、この角質層が自然発生的に増えた状態のことを「特発性角質増多症」と呼びます。犬では鼻や肉球でよく見られます。(医学的に原因不明である、または特定の原因が明らかにされていない状態を特発性と言います)

<鼻鏡部>

<肉球部>

「特発性角質増多症」になると皮膚の表面が硬くなりますが、軽症の場合は特に症状もないので治療は行いません。しかし、重症になると皮膚にひび割れを引き起こすこともあり、肉球でそのようなことが起こった場合には歩行時に痛みが出てしまうことがあります。この場合には治療が必要となります。
そもそも「特発性角質増多症」は特発性の病気なので、それに対して様々な治療法が提案されています。色々試してみた結果、私はプロピレングリコールという保湿剤を自分で調剤して使用しています。

 

<治療前>

 

<治療2週間後>

ただし、「特発性角質増多症」によく似た病気に、鼻と肉球にフケとかさぶたが大量に付着する「落葉状天疱瘡」という病気があります。こちらは保湿剤を塗った程度では絶対に治りませんので、尋常ではないほど鼻や肉球の皮膚が分厚くなっているような症状の場合には、自己判断せずに必ず動物病院を受診してください!!

 

<落葉状天疱瘡の肉球>