皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症はいわゆるカビの感染症で、原因となるカビが動物の毛や皮膚に感染して、脱毛、フケ、痒みなどの症状が起こります。

 

 


イヌやネコの皮膚病としてはそれほど珍しいというものではないですが、この皮膚糸状菌はちょっぴり獣医が泣かせの病気です。

なぜなら・・・・

“意外と診断が難しいから”

皮膚糸状菌症の診断には、カビが光る特別な波長のライトを感染した毛に当てて検査するウッド灯検査や、カビを増やして検査する培養検査などなどありますが、それぞれ診断するには一長一短があります。


<ウッド灯検査>光量が強すぎて何が何だかわからない写真

 

<培養検査>白い綿毛状のカビがワサワサ生えてきている

 


そのため一番確実な診断方法は、 

“カビが毛に感染している姿を顕微鏡で確認するのこと!”

ということになるのですが、顕微鏡でそれっぽい毛を見て、「これは絶対に皮膚糸状菌症だ!だって、カビが毛に中にいっぱいいるから!!」と、自信をもって言い切るにはある程度の修練※が必要です。

※修練
私が大学病院で皮膚科の研修医をしていた時に教授から、「皮膚科はまずはカビが見えるようになってから」と言われたが、本当にその通りだと思います


当初は“カビが感染した毛”といわれたものを顕微鏡で見せられても全く分からなっかたですが、その後も根気強く糸状菌症の皮膚病が来るたびに、何度も何度もカビを見つける努力をしていたら、ある時「ここにいますよ!」とカビの方から私に語りかけてくるかのように、カビに感染した毛が突然見つけられるようになりました。

これを悟りといのか・・・そんな不思議な経験だったのを鮮明に覚えています。

 

<顕微鏡検査>毛の中に粒々したカビの胞子と呼ばれるものがいっぱい詰まっているのと、毛の表面から糸状に伸びたカビの菌糸が確認できる


ちなみに、このカビは、動物から人間にうつることがあるのでご注意ください。